人生一の幸せを

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区切れなかったのでいつもより長めです‪(ᯅ̈ ) ーーーーーーーーーーーー 「いやありえないって……。だって、天野ってノンケで…」 つい、驚きのせいで“ノンケ”等という言葉遣いをしてしまった。 ノンケだなんて同性愛者しか使わないんだ。気をつけなければならない。 「からかわれたって、大した反応できないって。」 好きだと言われた直後、顔が赤くなり、鼓動が早くなるのを感じたが、ふと高校時代のことを思い出して冷静になる。 そうだ。高校時代、天野はたしかに彼女がいたし、偶然聞いてしまった会話でも、少し怒った様子で男をすきになるわけが無いとはっきり言っていたのだ。 からかわれたのだと少しだけ傷心していると、天野は苦笑を浮かべた僕の顔を気遣わしげに見てから、まさか…と呟いて続けた。 「俺、ノンケじゃないですよ。ゲイなので…。」 衝撃の告白に目を見開く。 天野が…ゲイ…?自分の記憶とのギャップに混乱してしまう。 だったら…天野がゲイなら…さっきの告白、信じてもいいのかな…? 信じれる信じれないではなくて、ただただ信じたかった。 でも、なんで教えてくれなかったんだなんて浅ましいことを考えてしまう。自己中心的な考え方に、自分自身が辟易とした。 「ゲイ…?天野が……?」 もしかしたら結ばれることが出来るのかもしれないという喜びと、昔との矛盾への困惑とが頭の中でぐるぐると回っている。 「だって…」 言葉も涙も止まらない。つい天野を攻めたてるかのような口調で聞く。 「だって、天野は彼女いたし。…結果的に立ち聞きになって申し訳ないけど、昔、男のこと好きになるわけねぇだろって言ってるの聞いた。だから……だから、僕は、もう、諦めようと…」 そんな僕を宥めるかのように、天野は僕の頬に手を添えて指で僕の涙を拭いた。 こんな状況でも優しくしてくれる天野が好きで、僕の心臓が跳ねるのを感じた。 「…すみません。」 天野の顔を見ると眉間にシワが寄っており、少しだけ思い詰めているようにも見えた。 「あの時、俺自分がゲイだってことに気づいたばかりだったんです。自分が人と違うってことが怖くてヤケになってたんだと思います。…傷つけてすみません。」 「…なんで謝んの、。……天野悪くないじゃん。」 自分勝手な僕の言い分に対して、天野は「そうですね」なんて笑いながら答える。その様子に、なぜだか毒気を抜かれた気分になって。 「…信じて、いいんだよね?」 と聞くと、先程まで笑っていたのは何だったのか。急に真剣な表情になって、 「信じてください。ずっと前から愛してます。もう、離れたくないんです。」 …もう離れたくない。その言葉に一喜一憂する。そんなことを言わせるまで心配させていたのかと後悔する反面、とても嬉しかった。 「離れないでくれていいんだよ?」 そう言うと、天野は目を細めてから片方の口角を上げて、 「俺の愛は重いですよ?」 だなんて言う。…色気がすごい。かっこいい。 顔がいいから何しても様になるんだよまったく。 何故だか分からないけど、そんな天野の様子に、今まで天野に怯えていたことも馬鹿らしくなって。 「全部受け止めるよ」 と口からすんなり出てきた。 天野はガバッと効果音が付きそうな程勢いよく顔をあげると熱い抱擁をしてきた。 「好きです。…大好きです。愛してます……。」 天野は僕の肩に顔を埋めて、少し泣き声になりながらも僕に想いを伝えてくれる。そんな天野の頭を撫でながら、 「…僕も愛してるよ。 ……ねぇ、話し方、さっきのに変えてくれてもいいんだよ?」 さっきのとはもちろん、僕が寝ていた時に聞こえてきた天野の口調のことだ。 「名前で呼んでくれるなら。」 間髪入れずに答えてくる天野は、端からそう言うつもりだったのだろう。…僕の彼氏はなんでこんなにかっこよくて、可愛いんだろう。 すごく愛おしく感じた。 さっきまであんなに躊躇っていたのが嘘かのように。僕の中ではもう独占欲が湧いていた。 それにしても、改めて名前を呼ぶなんて、なんだか小っ恥ずかしくて躊躇ってしまう。言えなくて、言えなくて。なんとか絞り出して言えたのは颯馬くん、だった。 「今はそれでいいよ、尚都。」 だなんていい声で言うからついつい顔が赤くなってしまう。そんな僕の様子を満足気に眺めると、颯馬くんは顔を近づけてきた。 「風邪、移っちゃうよ?」 自分自身も拒否しきれなくて、どうしても狡い言い方をしてしまう。それでもして欲しい、だなんて思いながら颯馬くんを見つめると、同じ気持ちだったらしい。 「風邪くらい移しちゃえよ。」 と耳元で囁くと、こめかみ、目元、頬に軽く唇を付ける。 そして僕と目が合ったかと思えば、柔らかく微笑んで、甘い口付けを交わした。
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