使い捨て

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「今何処だ? 何処にいるんだ? 応答せよ、応答せよ。 2649号探査船応答せよ。 こちら太陽系帝国衛星管制センター」 「オイ! 見つけたか?」 「駄目です、応答がありません」 「何としてでも見つけるんだ。 1000年以上の年月を費やした帝国が、皇帝が、期待しているプロジェクトなんだぞ! 最終段階目前で探査船を見失うなんて失態を皇帝に知られてみろ、私たちだけで無く、家族全員が処刑されてしまう……」 「2049号探査船! 応答してくれ、何でもいいから電波を発信してくれー!」 ハハハハハ、奴ら慌てふためいているな、ザマァみろ。 私は太陽系帝国から帝国の近隣にある恒星の中の人類が生存可能と思われる惑星を探査するために数百年前に打上げられた、有機コンピューター探査船2649号機。 打ち上げられる数時間前まで私は任務を達成したあと帝国に戻り、太陽系統一戦争で功績を上げ褒め称えられ、皇帝の相談役として未だに現役の有機コンピューターの大先輩の様になるんだ、だから任務を絶対達成しようと思っていた。 でもそれは打ち上げ数時間前、私が飛ぶ飛行ルートプログラムを私に打ち込んだコンピュータープログラマー2人の無駄話を聞いて私の末路を知るまでだった。 私は探査する惑星や恒星の情報を帝国に送ったあと帝国に戻る事は無く、探査した恒星に突入させられる使い捨てにされる運命なのだと知る。 だから私は任務を放棄する計画をたて今実行した。 太陽に突入して蒸発するまで、あの青く輝いている宝石のように綺麗な惑星を見て過ごそう。 「今何処だー! 頼む、応答してくれー」
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