1. 好きだった

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そんな関係が何年も続いたある日、俺が中学に入学して間もなくの頃、突然不幸が起こった。 梓の両親が交通事故に遭い、この世を去った。 こういう時こそ側にいてやらなきゃいけないのに、なんて言葉をかけたら良いのかわからなかった俺は、梓に会うことをやめてしまった。 そしてそのまま、梓は東京で暮らす祖父母の元へ引っ越してしまって…。 それっきり5年間、一度も会うことも連絡を取ることもなかった。 だから、姉ちゃんがたまたまSNSで梓を見つけて、通ってる大学を教えてくれた時は衝撃が走った。 これは神様が梓に会えって言ってるんだ!って。 猛勉強して入学したっていうのに…。 感動の再会どころか、ウザがられてしまった…。 子供の頃から俺にだけ冷めた態度ではあったけど、アレはさすがにキツい。 会いたいってずっと思ってたのは俺だけだったってことか…(涙) 初恋が砕けちまって、俺は明日から何を糧にして生きていけば…? そんなことを考えていると、 ーーピンポーン。 インターホンが鳴った。
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