1. 好きだった

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梓「はぁぁ…。」 講義が終わった帰り道、和田梓(わだあずさ)は大きなため息をついた。 キャンパスで直樹に声をかけられた時、あたしは思わず泣きそうになった。 だって、もう直樹に会うことなんて叶わないと思ってたから。 小さい頃からずっと大好きだった直樹…。 中学2年生の時にあたしが引っ越しちゃって、5年間も疎遠になってたけど、ずっと会いたくて仕方なかった人。 …子供の頃から背が高い方だったけど、さらに高くなって、なんか大人っぽくなってたなぁ。 それなのに…、 「な、なんでアンタがここにいるのよ!?」 …なんて言っちゃった(涙) おまけに、 「アンタと同じ大学とか、さいッッあく!!」 とも…。 本当は嬉しくて嬉しくて仕方なかったくせに! せっかくの感動の再会が台無しよ…(涙) いつだってそうだった。 あたしはなぜか、直樹の前ではツンツンしちゃって素直になれない。
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