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アスファルトと女
1人の筋肉質な40前の男がアスファルトの上で倒れていた。
「ユ…ユミ…」
その男は女性の名を呼ぶ自身の声で目を覚ました。
彼がまず目にしたのは周囲を遮るアスファルトの壁だった…
彼は六角形のアスファルトの中に居た。
彼は自身の信じる事の出来る言葉を口にする。
「神よ…神よ救いたまえ…」
彼の真摯な祈りは少女の一言で打ち砕かれた。
「神様?ここにはいらっしゃらないわ?」
その声の出元へと男は目を向けた。
男の目には少し暗い雰囲気の若い女性が映った…20歳前後だろうか
「…君は?…いやここは何処なんだい?」
そう急くように質問を投げかけた男に女性は冷たく乾いた声を返した。
「貴方、会話が成り立ってないわ、私が言ったのは「神」がここには居ない事」
「…君、神様がいない所などはこの世に無いんだよ?」
「アッハッハ…神様が居るのにこんな事になってるなら神様なんて居なくてもいいかもね…そもそも『ここ』がアナタの言うこの世って保証すらも無いわ」
この子は一体誰なんだ!?
何故、私はこんな所に監禁されている…
パニックになっているこの中年の名は森貝ヨウヘイ…
彼は自身の今置かれている状況を整理する為に高速で過去を思い返した。
…
…
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