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幸せという名の小さな不満
八畳程の白い壁の部屋。
壁には子どもが書いたであろう、青い顔で微笑む似顔絵が一枚貼られている。
部屋の中には薄らとオリーブオイルの匂いが漂っていた。
テーブルの上には皿の上に載った目玉焼きと、食パン、ミルクの入ったグラスが2つずつ置かれており、グラスの中のミルクにカーテンの隙間から差し込む日差しが反射していた。
差し込む光を遮るように、ワイシャツにスラックス姿の瘦せ型の30代後半程の男がそこに立って皿を二箇所に分けて並べた。
「おはようミコ。さ、朝食を取ろう」
男は笑顔で制服姿で立ったままスマホを触る少女に言った。
ミコと呼ばれた制服姿の少女は黒髪短髪で、歳の頃は16歳といったところだろうか。
彼女は透き通る様な肌に包まれたその手にスマホを持ち、無表情で翡翠色の目をそこに向けていた。
男に話し掛けられた少女はスマホから目を離さずに返事をする。
「あ、今日は要らない。あと今日の夜は友達と食べるから夜も要らないから」
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