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1.10年後のISD
早いもので、ISDが発足してから10年が過ぎた。発足当時の本部長はその後数か月で栄転し、後を4人の本部長が交代で着任したが、どの本部長もこの部署が貴重な存在だと思ったのか、ISDを厚遇してくれている。
一時期全国的にもISDと同じような部署ができていたらしいのだが、クロとシロのような猫が見つからなかったのか、オレとレイのような猫と話せる者がいなかったのかはわからないが、3年ほどで消えてしまったそうだ。
ISDというのはInquiry subsidy deployの略で、表向きは取り調べを補助する部署ということになっている、本部長直属の部署だ。
ざっくり言うと、取り調べ中の犯人がウソを言っていることを猫を使って見抜けるという、チート的な存在だった。
裏向きにはというほどではないが、人命救助や、あとトレーニングがあるが、それはまたの機会に話そう。
そんな部署が唯一残っているのが、高知県警の誇るISDというわけだ。
そのため、警視庁や大阪府警などから応援要請が半年に1度くらいあっていて、ほぼ総出で出張になっていた。主に重大事件の犯人の取り調べの補助だったが。
一度は東北地区の地震災害の行方不明者捜索に5日間行ったこともある。その時は救出者50名以上という大きな功績を残したため、警視総監賞もいただき、我々のことは連日全国テレビで報道された時期もあった。
有名になったISDに、全国のファンや猫好きから、応援の手紙やメールが届いているので、毎日目を通す作業も大変だが、それは一番嬉しい仕事だ。
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