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「そこでだ!私達が使ってた部屋をセスとアルにプレゼントしようと思ってな!」
「え?パパとママが使ってた部屋を?」
「そうだ。私はもう使っていない。入ると少し寂しくなってな、、きっとママもその方が喜ぶよ、、」
「いいの?」
「勿論だ。これからはあの部屋を使いなさい。アルに頼んで呪いはもうかけてある。」
「パパ、、ありがとう!!」
セスが国王と話し終わった後綺麗になった新しい部屋にそっと行くとパパとママの部屋だったであろうそこには昔の面影しか残って無かった。
「ママ、、、私、、アルと結婚したよ、、」
ベッドに横たわり小さくそう呟いたけど広すぎるこの部屋は響く事もしなかった。
「アル、、、早く帰ってこないかな、、」
基本部屋にいる事が多いセスは旅の疲れからかそのまま眠ってしまった。
ーーーーーーー
ユラユラと揺れるラプラの花
私はあの日、外でアルと走り回って遊んでたんだっけ、、
10歳だった。
急に体が熱くなって黒かった髪が銀色に変わり始めた。
空がまた黒くなって渦を巻いて私の目の前に
大きな黒い影。
何かを叫んだアルの声がよく聞こえなくて私はそのまま黒い影に包み込まれたんだ。
目が覚めるとパパが泣いていて、ごめんと何度も言っていた。
「アルは?」
私がそう言うと部屋の片隅で小さくなってうずくまっているアルが顔を上げた。
泣き腫らした目には涙が溢れ出して、アルもやっぱり私にごめんと呟いてた。
その2日後、ママが死んでしまった事。
18歳になったら魔王に嫁ぎに行くこと。
その二つを知ることになる。
懐かしいなぁ。アルって昔は私より小さかったんだなぁ。
夢うつつの中重たい瞳を開くとアルが近くに座っていた。上半身の服を着てないためアルの身体がよく見える。
あっ、、傷だらけ、、
いつも暗くて分からなかったけど
アルの身体は傷がいっぱい、、。
「痛いの痛いの、、とんで、、けぇ、、」
ぼんやりとした意識の中、少しだけ手を伸ばしてアルの身体に触れた。
あったかいなぁ、、、
振り向いたアルは優しく笑った。
多分、、きっと、、夢なんだろうな、、
セスはまた眠りについた。
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