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「セス。ただいま。」
「アル。おかえり。」
アルが私に向ける視線のその先にあるのは。
私の中のママの面影なんだって事を私は知っているの。
アルが私の頬に手を当てて微笑んだ。
その笑顔はあの時に見た笑顔とは違ってみんなが知ってる当たり前の笑顔なのだと気付いていても私の胸はその当たり前の笑顔に恋焦がれてしまうんだ。
好きよ。
大好きよ。
側に入れるならずっと知らないフリをしていたいの。
ーーーーーーーー
「セス?こんな夜更けに何してるの?」
「マリー?」
せっかくマリーにアルをはひはひさせる、、いや、、好きって言ってもらえる方法を聞いたのにいざとなると怖くて出来ない。
「まーた、なんか思い悩んでるの?アルは?」
「アルは寝てる。悩んでないよ?目が覚めただけ、、」
「嘘つき。セスは悩むといつもここにくるじゃない。」
「そんなこと、、、」
「あるの!!、、で?、、何を悩んでるの?好きって言ってもらえなかった?」
月明かりに照らされるラプラの花畑を風がユラユラと揺らす。
踊る様に舞う花びらはとても美しい。
「、、。聞けないの、、。聞いてしまったら終わってしまう気がして、、。」
「はぁ??それはセスが考えすぎでアルだって、、「それは、、、違うの。、、、アルは優しい、、アルは私を守ってくれる、、でも、、違うの、、違うの、、」
きっとアルは私を大切にしてくれる。
きっとアルは私を好きと言ってくれる。
でも違うの、、、私の好きとは違う。
「そう、、、。セスがそう言うなら違うのかもね、、。なら別な人を好きになれば良いんじゃない?そしたらもう、、、苦しくないでしょ??」
「ふふ、、、例えば??」
マリーはセスの隣に座ってセスの肩に手を回した。
「そうね、、、私とか??」
「マリーを??え?やだぁ、、、」
「なんでよ、、失礼ね、、。」
「だってマリーと離れたくないもん。
ずっと一緒にいたいから変わらない好きのままがいいの!!」
「ふふ、、、それも、、そうね?」
「、、、ありがとう、、マリー、、」
セスはマリーに寄りかかり目を閉じた。
知らないフリ。
分からないフリ。
本当なら18歳になった時にもう二度と会わなくなる予定だったから少し感情に浸ってしまったのかもね。
好きな人と結婚出来ただけ幸せなんだから。
多くを求めちゃバチが当たるんだから。
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