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早足で楡は歩いていく。
楡の不機嫌な歩き方に怯えながらも夏原と春名は小走りで付いていく。
「夏原くん、春名くん!」
と辻空佐の呼ぶ声に3人が立ち止まる。
「これ、忘れ物だよ。」
空佐がステッカーと鉛筆を夏原と春名に手渡す。
「すみません、辻さん。あぁ、ご飯まで面倒みていただいて、本当にありがとうございます」
楡が頭を下げる。
「お前たちもしっかり礼をしろ!」
楡が2人の尻をパンパンと叩く。
「「ありがとうございます」」
「どういたしまして。こちらこそありがとう。楽しかったよ。また来てくれていいからね。」
「辻さんっ」
「いやいや、本当に。訓練生を連れてくればいい。見学すればいい勉強になるだろう?」
「軍の見学なんてさせたら子どもたち興奮してしまって手に負えなくなってしまいます。俺の身体がもちませんよ。」
空佐に礼をして歩き出した楡を夏原と春名が追いかける。
春名が1度振り返ると辻空佐がニコッと笑って手を振った。
春名は少しはにかんで、楡の方に走って行った。
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