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「ふう」
楡は手を止めて額の汗を拭う。
見下ろした尻は赤黒く、血を流し、床には血しぶきが赤く点々と散っている。
楡がバーにくくりつけてある足をほどいてやると、2人はうつ伏せになり、泣きはじめた。
「ふえ、えええん」
「うわぁあああん」
楡が部屋を出ていく。
「うわあぁあん、楡隊長!いかないでください!」
部屋にふたりぼっちになった途端、窓の外の暗さが怖い。
夜の静けさが恐怖となって夏原と春名を襲う。
「楡隊長っ!いかないでくださいいっ」
楡は給湯室でタオルを濡らし、1003室に戻ってくる。
相変わらずうつ伏せのまま声を上げて泣いている2人の尻に濡らしたタオルをあてがう。
「うううっ」
「うわあん」
腰や太もも、尻の割れ目もタオルで拭ってやる。
「あんっんああっ」
子どもたちは痛みに少し声を上げたが暴れはしなかった。
「落ち着いたら戻れ。電気は消して出ろ」
そう言って楡が立ち上がる。
「ああっ行かないでくださいっ隊長っ」
夏原が痛みに顔を歪ませながら四つん這いになって、立ち上がる。
春名も歯を食い縛って身体を起こす。
「俺たちだけ置いていかないでくださいっ」
立ち上がった2人はそのまま楡の足に抱き付く。
「オバケがきますっ」
「はあ?おばけえ?」
足にしがみついたまま夏原がコクンと頷く。
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