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チッと楡は舌打ちをして、涙で濡れた子どもたちの顔をタオルで拭ってやった。
「とにかく服を着ろ」
「「はいっ」」
2人は服を置いてるところに駆け出したがお尻のあまりの痛さに「んんっ」とたちどまり、震える足で服まで歩く。
なんとか服を着た夏原と春名はまた楡の足にしがみつく。
「離れろ、暑苦ししい」
楡は面倒くさそうに歩き部屋を出る。
パチンと部屋の電気を消すとまた子どもたちが悲鳴をあげる。
カタンと窓ガラスが鳴る。
「ひいいっ」
春名は廊下を振り返る。
廊下の奥の方は暗くて見えない。
何か黒い塊が出てきそうな予感がする。
「オバケっ」
「オバケがきますっ」
楡はうんざりしながら廊下を歩く。
「廊下の明かりを消すぞ。叫ぶなよ」
「やだ、消さないでくださいっ」
パチン
「「ぎゃああああっ」」
「電気を消しただけだ。そんなにしがみつくなよ、うっとおしい」
東2館の外に出る。
「宿舎まで、2人で戻れるな?」
と聞くと2人は激しく首を横に振る。
「宿舎まで一緒にきてくださいっ」
こいつらを宿舎まで送って、車まで戻って、車を駐車場に戻して上官に報告して…
楡はまたチッと舌打ちをする。
「俺の晩酌を邪魔しやがって…」
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