中等部7

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楡はしゃがんで腕を伸ばす。 「ほら肩につかまれ」 夏原と春名は楡の太ももに股がり肩に腕を回す。 楡は2人を抱えて立ち上がる。 「ううっ」「んんんっ」 ぶたれたばかりのお尻を抱えられて呻き声が出る。 「お尻、痛いいっ」 と春名は楡にぎゅっとしがみつく。 楡は2人を両腕に抱えて訓練生の宿舎へと向かう。 後ろの方で飛行機が飛び立つ。 「オオカミです、隊長っ」 「はあ?どこに」 「今オオカミの声がしたでしょう?ガオオって」 「今のは夜間訓練の飛行機だろ」 「ひゃっ今も聞こえました、オオカミの声っ」 「今のはバイクの音だろ」 「オオカミですう」 「オオカミに見つかったら食べられてしまいます」 「あぁ、そうだな。」 いつもは夜なんて怖くないのに暗闇や物音や全てが怖く感じる。 楡はうんざりしながら子どもたちの話を聞く。 宿舎に近付くと外で遊んでる子どもや、寝そべってる子どもが目に入る。 「こら!部屋に戻れ!消灯時間過ぎてるぞ!」 楡が怒鳴ると暗闇にいた子どもたちがわらわらと宿舎に向かって走り出す。
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