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リアムは「久しぶりじゃないか!」と、素早く立ち上がり、やや強引に彼を焚き火のそばに座らせた。 「会えてよかったよ。もうじき迎えがくるらしくこの野営に来たんだ。そしたら、君らのとこの分隊長を見かけたからもしかしたらと思ってね」 「そうだったか!しかし、前会った時よりずいぶん恰幅(かっぷく)が良いんじゃないか?」 「ああ、そのことか。翻訳をやっているだけじゃ隊長が許してくれなくてね」 マッテオはふと再会の興奮から覚めて、リアムとルイスが二人だけで焚き火を囲んでいたのを不思議に思った。 「ところで、ここでなんの話をしてたんだ?」 「いや、これからどうしようかなって話してただけさ。お前はこれから不安じゃないか?」 「俺?俺は不安じゃないさ。幸い、お前と違って修士号だからね」 「おい、それが久しぶりに会って言うことか?」とリアムが笑い混じりに言うと、気まずそうにしていたルイスも口元を綻ばせた。 「ハハ、冗談に決まってるだろ?君の方こそ、これからどうするんだよ」 リアムは「俺はね…」と言ったきり、黙って考え込んだ。しばらく薪がぱちぱちと(はじ)ける音だけが辺りに響き渡る。すると、野営から分隊長が腰に引っ下げてある銃か何かの音をカチャカチャ鳴らしながら歩いてきて、「もう迎えが来るから早く準備しておけ」と命令した。言い終えるなり、不機嫌そうに軍靴で雑草を蹴り散らしながらまた野営に帰って行った。 リアムは深いため息を吐いて(おもむろ)に立ち上がると、肩にぶら下げてあった水筒の水を炎に垂らして、「俺は、それなりに生きていくよ」と弾んだ調子で言った。炭酸が抜け出すような音を漏らして火は消え、辺りはたちまち真っ暗になったが、彼らの目は、なおも凛々しい輝きを(たた)えていた。
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