異界セッション

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「おまえ、ドラムやらん?」 「え」 「いや悪い。忘れてくれ」 謝りに行くと、(いか)ついお隣のお兄さんが開口一番こう言った。 実は昨日、ずっと一緒にやって来たメンバーの一人が辞めてしまったのだそうだ。 「ここんとこ壁越しに聴かされててな。かなりいい線いってるんじゃあないかって、そんなことを思ってしまってな。何言ってんだろうなオレ」 「やります」 「あ?」 「お願いします。やらせてください!」 「いや、だから」 「俺、ドラマーなんです!」 全く売れてませんけど。 本当に、夢のような話だった。
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