5. 終章

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「ふはははは!」  悪魔は笑いだした。 「お前はとんでもないことを言ってしまったな! その身体、この私がもらってやろう!」  悪魔はさっと手をかざすと、聖女と自分の魂を(たちま)ち入れ替えてしまった。 「ほう。これが人間の身体か。悪くない」  手足を自分の意思で動かしてみるが、特に問題はなさそうだ。  美しくなった己の姿をひとめ見ようと、はやる気持ちをおさえながら、悪魔は鏡の前に立った。  鏡の中には人間の女性が映っていた。  だが、想像していた美しい姿ではなく、悪魔のようなただの醜い女だった。 「な……これは……どういうことだ……」  そこへ悪魔となった聖女がやってきた。  鏡に映る醜い女。そこに並んだ姿を見て、悪魔は思わず振り返った。  そして言葉を失った。
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