2. Side:悪女 【聖女の生活】

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 二つ目の予定は、異国の使者との対談だった。  悪女はこれなら自分にもできると思った。紅茶とお菓子でもてなして、雑談をするだけなら簡単だろうと考えた。  しかし、使者を前にした悪女は一言も言葉を発せなかった。  それもその筈。  使者の話す異国語を、悪女は話せなかったのだ。  そのあとも予定は山積みだった。  歴史に始まり、法学、帝王学、軍事学。  歌にダンスに裁縫まで。  (まつりごと)に関係ありそうなものから、関係なさそうなものまで。  隙間という隙間が講義で埋められ、夜にはもうへとへとだった。 「こんなことを毎日していたら、死んでしまうわ」  悪女は一日で弱音を吐いた。  そこへ腰の低い家臣がやってきた。 「聖女さま、すべてひとりでこなされていてはお疲れでしょう。もしよろしければ、わたくしが聖女さまにかわって、ご予定をこなしてみせますが」 「おお、なんと素晴らしい申し出でしょう!」  悪女は大いに喜んだ。  そうして、すべての権限をその家臣へ与えてしまった。
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