3. Side:聖女 【悪女の生活】

1/2
前へ
/15ページ
次へ

3. Side:聖女 【悪女の生活】

「まあ、この方は誰かしら」  聖女は鏡を見て声をあげた。  鏡に映っているのは、見たことのない女性だった。  だが、ふしぎなことに、彼女は少しも慌てなかった。 「まずは、この方が誰なのか、調べることから始めましょう」  そう言って、名前は勿論、家族構成や交友関係。そして評判まで調べると、聖女は眉をひそめた。  どうやら今の自分は、と呼ばれているらしい。  普通なら大いに落胆するところだが、聖女にはもっと気にかけるべきことがあった。  自分のいなくなった城は、どうなっているのだろう。  ただの村娘には知る術がなく、それだけが聖女の胸を痛めた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加