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農村に住まう者たちの朝は早い。
聖女は常日頃から早起きだったので、家族と同じ時間に起きた。
朝日がのぼる前に彼女の姿を見たことがなかったので、家族は大変驚いた。
そして畑仕事を一緒にしたいと言うと、更に驚いた顔をした。
聖女は畑仕事をしたことがなかったので、なにからなにまで尋ねた。悪女も畑仕事は家族に任せきりで何も知らない筈なので、家族はちっとも不審に思わなかった。
家族は仲が良く、温かかった。
村のみんなは、とても優しかった。
汗水流してようやくありつける食事は、本当に美味しかった。
なんて幸福だろうと、聖女は心から思った。
聖女は気立てが良いばかりか、勉強熱心でとても賢かった。
作物をよりよく育てる方法や、悪天候への備えなど、村の助けになることをたくさん考え、実行した。村は聖女のおかげでますます発展した。
だが、月日が流れると悪政によって国が傾き、生活はとたんに苦しくなった。
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