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「あの、これって一体どういう状況?」
恐る恐るスズメに聞いてみる。理解しがたい現状に徐々に怖くなってきた奏からは、さっきまでの威勢は消えていた。
「どうもこうもないわい。ねえちゃんが鳥になりたいゆうたから鳥にしたってん。なんやカラスが良かったんか。あれはやめとき、カラスは木を枯らすゆうてな。まあ嘘やけど」
「あの、そういうのはもういいですから」
「お、そうか、すまんすまん」
スズメは申し訳なさげに言ったが、本当に反省しているかどうかは定かではない。
「まあ、あれや。いつものようにギャルウォッチをしていたらねえちゃんをみかけてな、その涙を見て心配になったんや。これはほんまやで。で、近づいてみたら綺麗なシルクの‥‥‥ゴホンゴホン」
スズメは顔を少しそらして、横目で奏をチラ見した。笑うでもなく怒るでもなくスズメを凝視している。
元々は奏を元気づけようとして軽いノリで話していたスズメだったが、奏の真剣な表情に、スズメはその眼をキリっとさせた。スズメの真剣な眼差しなど、それこそ笑いのタネでしかないが、奏は表情を崩さない。
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