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なにしてたのよっ!!
スズメは、それまでの茶化していた態度を改めて説明を始めた。
「いや、わしもな、鳥になりたいと思うとったんや。定年になってやることもなくて、しかもや、定年まもなく、妻に先立たれてもうてん。それで毎日のように妻がいるかもしれない空を見上げながら思ったんや。鳥になりたいなあと。鳥になったら、もしかしたら空におる妻の元まで飛んでけるかなあと」
黙って聞いていた奏だったが、どうでもいい事を突っ込んでしまう。
「爺さん、なんか無理して喋ってませんか?さっきからいろんな方言が混ざってて、ちょっとうざいんですけど」
「し、しゃあないやろ。わしの職場はなあ、それこそ訛りのきつい北海道、新潟、宮崎の人間が多くいたってん。最初は何ゆうとるか分からんかったばってん、慣れてもうたら今度は自分が何語を話してるかも分からんくなってもうた。つっても、日本語やけどな」
「まあ、通じるけれど‥‥‥」
真っ赤になって捲し立てるスズメに、奏はなだめるようにそう言った。
「ってか、爺さんって誰やねん。わしには権司っていうカッコいい名前があんねんで」
まだ少し顔が赤い。スズメ同士になると顔色まで分かるんだと、奏は妙な納得をした。
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