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「ごめんねじ‥‥‥権司さん、それで鳥になった話は」
「おお、そうやったそうやった」
権司はさっきまでの怒りをすっかり忘れて、意気揚々と話し始めた。
「そうやって願い続けて一年が過ぎた頃や、夢を見たんよ」
「夢?」
「そうや、夢に神様が現れてな、さっきの呪文を教えてくれたんよ。お前がそれを唱えれば誰でも鳥になれると」
「で、実際にやってみたと」
「そう。そうしたら本当になれたんや!そらもうびっくらしたで」
権司は得意げに鼻をならした。
嘘のような話だが、実際権司は鳥になっている。いや、奏もだ。
「だがまあ、妻には会えへんかったけんな、まあ当然っちゃあ当然や」
今度は寂し気にそう語った。奏は少し気の毒に思ったが、それでも疑問はまだまだ残っていた。
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