運命の人

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 終わった……。  ✳  ゴキブーリィとの闘いが終わり、タケシは満身創痍でアパートに帰って来た。よっぽどあの怪人が噴射した毒ガスが効いたらしい。タケシはしばらくベッドを離れられなかった。しかしさすがの治癒力。程なくすると、傷はすっかり癒えて、毒ガスの影響も薄れて行った。  ──     今私たちはM博士の計らいで、カリブに来ている。白い砂浜にカリビアンブルーの透き通った海。新婚旅行だ。IQ600とIQ95の結婚。果たして上手く行くのだろうか。 「本当に私なんかで良いの? 私……IQ95なのよ」 「僕は極端な生物だから、ほどほどの人が好きなんだ」 「もう自分のことを生物だなんて、ちゃんと人だと言って。あなたは本当に立派な人だわ。ねえ……私いつか……あなたの赤ちゃんが欲しい」 「やめないか! それを言うな!」 「だって……」 「君は時にほどほどの度が過ぎるようだ」 「…………」 「僕はまだ良い。マシな方だ。しかし子供が上半身ではなく、万が一にでも変身して下半身がバッタになったらどうする!」 「あっ……ごめんなさい」 「な、分かったなら、わがままを言わずにこっちにおいで……」 「やだあなた……まだ明るいわ。野獣に変身するの……あ! あん……早いからぁん」  ✳  どうか世界中が平和になって、彼のが私の前だけでよくなりますように……と、心から願わずにはいられない。                 END
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