運命の人

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 そう彼はヒーロー。     名前はとだけ言っておこう。  呼び名は明かせない。ヒーローが恋愛なんてしてるのがバレたら、それがとんでもない弱みになるかもしれないから。ただ、半身バッタになる……なんて言ったら大概の人にバレちゃうかしら。  初めて彼が路地の暗がりで、腕を高く上げたり回したりして上半身バッタの姿にし、オートバイにまたがり颯爽と遠ざかって行く姿を"アミーゴ"のドアから覗き見た時、私は恐れると同時に強い覚悟と決意とで身を震わせた。「ヒーローの女として生きる」という、覚悟と決意だ。    この思いは誰が何と言おうと本物だ。  絶対この感情は今までの(まが)い物の恋みたいに、雲散霧消なんかしない。  その時の私は「ヒーローの女として生きる」という強い気持ちが全身にビビッと駆け抜けて、その覚悟に身が引き締まるようだった。
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