13人が本棚に入れています
本棚に追加
そう彼はヒーロー。
名前はタケシとだけ言っておこう。
呼び名は明かせない。ヒーローが恋愛なんてしてるのがバレたら、それがとんでもない弱みになるかもしれないから。ただ、半身バッタになる……なんて言ったら大概の人にバレちゃうかしら。
初めて彼が路地の暗がりで、腕を高く上げたり回したりして上半身バッタの姿に変身し、オートバイにまたがり颯爽と遠ざかって行く姿を"アミーゴ"のドアから覗き見た時、私は恐れると同時に強い覚悟と決意とで身を震わせた。「ヒーローの女として生きる」という、覚悟と決意だ。
この思いは誰が何と言おうと本物だ。
絶対この感情は今までの紛い物の恋みたいに、雲散霧消なんかしない。
その時の私は「ヒーローの女として生きる」という強い気持ちが全身にビビッと駆け抜けて、その覚悟に身が引き締まるようだった。
最初のコメントを投稿しよう!