それは大嫌いな女から始まりました。

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傍からは観劇後に無駄にテンションの上がった騒がしい女子二人に見えているんだろうな。 まぁこのロビーに残っている他の観劇客も似たような事をしているからそんなに気にする事もなさそうだ。それにしても女の子ばっかりだな、この空間。 わかりきってはいたけれどここにいる事が辛くなって来た。 お願いだから早く来い。 目の前で満足げに笑う美代も、他の客もお目当てはお前達なんだから。 少し経ち、脳死で美代の言葉を返しつつ、今日の晩御飯はなんだろうと考えていたその時、狭いロビーの熱が一段とあがり、待ち望んでいた瞬間が訪れる。 出演者たちがご挨拶、お見送りにロビーへ出てきたのである。 そしてその中には美代と私が待っていた美代の自慢の彼氏でもある野木恵一もいた。 あちこちで黄色い声が上がり、それぞれがお目当ての役者の元へ急ぐ。 恐らく出演者の中でも一番人気がある野木君はあっという間に待っていたファンの女の子達に囲まれてしまった。 しかし美代は笑みを浮かべながらその様子を見ているだけだ。 なるほど、本命様は余裕たっぷりでございますね。
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