Change~チェンジ~

1/7
前へ
/7ページ
次へ
若林(わかばやし)くん、これなんだけどさ──」  パソコンのディスプレイを指しながらの天城(あまぎ) 圭亮(けいすけ)の言葉に、新入社員の彼はさっと緊張した面持ちになった。  研修を終えて、昨日正式に配属されたばかりの若林 達大(たつひろ)。圭亮は彼の指導役を任されたのだ。 「は、はい! なんでしょうか!」 「いやいや、そんな身構えなくていいから」  身体中に力が入っているのがわかる彼の少し上擦った声に、圭亮は苦笑しながら答える。 「とりあえず全体の流れはこれで掴めると思うから。ただいくつか注意して欲しいとこがあるから説明するね」 「はい! あ、あのちょっと、──すみません、お願いします!」  あたふたと取り出したメモ帳とペンを手に、真剣な眼差しを向けて来る達大。  真面目で前向きな後輩には、指導する圭亮も力が入るというものだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加