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「……すみません、ありがとうございます」
恐縮している彼に、かえって申し訳ない気分になる。
「俺は両親と同居だしなぁ。娘もやっと小学校入ったし、保育園の送り迎えある人たちとは全然違うからさ。……立花さんとか沢口さんとかはホントに大変だと思うよ」
「そうなんですね。僕、よくわかってなくて」
まだ他の課員の状況も把握していない筈だ。
そうでなくとも子どもどころか結婚もしていない、それ以前に社会に出たばかりの達大には知らないことの方が多くて当然だろう。
「ああ、でも今日は帰らせてもらおうかな。悪いけど」
正直いったん集中力が途切れてしまったこともあり、圭亮は今日はもう切り上げることにする。
「いえ、そんな! お疲れさまでした! また明日もよろしくお願いします」
「うん、じゃあ若林くんも今日はもう終わりにしようか?」
きっちり頭を下げる彼に笑顔でそう告げてから、圭亮は片付けに掛かった。
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