Change~チェンジ~

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 インターホンを押すと、待つほどもなくドアが中から開かれる。 「パパ! おかえり!」  娘の弾んだ声に迎えられて、圭亮は一瞬緩みかけた表情を慌てて引き締めた。 「ただいま。……真理愛(まりあ)、ドア開けるのは誰だか確かめてから! いつも言ってるだろ?」  つい先ほど連絡も入れているし、圭亮ではない可能性はほとんどないだろう。何より両親も在宅している。  この時点に限っては、実質危険があるとは思わない。  それでもこれは習慣として、娘には身につけさせなければならないことなのだ。だから圭亮は、口うるさいのは承知の上で注意するのをやめるつもりはなかった。 「……ごめんなさい。おばあちゃんから、パパもうかえってくるって聞いたから。ピンポン鳴ってぜったいパパだと思って」  しょんぼりした真理愛が可哀想にはなるものの、親として厳しくすべき義務はあると考えている。「母親がいないから」とだけは誰にも言わせたくなかった。  無論自分の立場や恥などの問題ではなく、ただ娘のために。  それが圭亮の矜持だ。
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