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「若林くん、これなんだけどさ──」
パソコンのディスプレイを指しながらの天城 圭亮の言葉に、新入社員の彼はさっと緊張した面持ちになった。
研修を終えて、昨日正式に配属されたばかりの若林 達大。圭亮は彼の指導役を任されたのだ。
「は、はい! なんでしょうか!」
「いやいや、そんな身構えなくていいから」
身体中に力が入っているのがわかる彼の少し上擦った声に、圭亮は苦笑しながら答える。
「とりあえず全体の流れはこれで掴めると思うから。ただいくつか注意して欲しいとこがあるから説明するね」
「はい! あ、あのちょっと、──すみません、お願いします!」
あたふたと取り出したメモ帳とペンを手に、真剣な眼差しを向けて来る達大。
真面目で前向きな後輩には、指導する圭亮も力が入るというものだ。
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