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余命宣告から三か月。 私は意中の人と校舎の裏で向かい合っている。 帰宅を急かすチャイムを聞きながら。 「ずっと、好きでした」 この一言のために、今日ここにいるのだ。 「ありがと。……ごめん」 ああ、そうだ。きっとそうだと確信していた。 君はそう言うってわかっていたけど。 「うん」 それで、終わり。 彼の背中が視界から消えるまで、私はずっとそこに立ち尽くしていた。 深夜零時。 私は遊んでいたゲーム機から目を離した。 無性に外の空気が吸いたくて、窓を開ける。 夏の熱い夜風が部屋に流れ込んできた。 町の空気は美味しくないはずなのに、私はひたすら肺の中にそれを取り込む。 少しして満足した私は窓を閉めて布団に入った。 私はまたクジラになっていた。 誰もいない海の中を、一人泳ぐ。 寂しい。とても、とても寂しい。 そんな感情がぽーぅ、ぽーぅと口から漏れる。 ほとんど音のない海の中をさまよっていた、その時。 ぽおーぅ。 私の声ではない、誰かの声がどこからか響いた。 「どこ? どこにいるの?」 私も必死で応える。だけど相手の姿は見えない。 一つだけわかるのは、誰かは「こっちへおいで」と呼んでいるということ。 私はその声めがけて泳いでいく――。 眩しい光に包まれて目が覚めた。 眼鏡をかけて時計を確認すると、もう授業が始まっている時間だった。 ――人生で一回ぐらいずる休みしたって、許されるよ。 私はそう決めると、再び夢の中へ逆戻りしたのだった。
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