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違うのは、割ったのが母さんで、カップの破片を母さんが気にも止めていない点だった。
俺の頭に一瞬で血が上る。
「クソババァ!」
俺は母さんに飛びかかった。
胸ぐらをつかんで、母さんの顔面を殴った。
一発、二発、三発。
口から血を流し、鼻血を出すほど殴っても、母さんは抵抗しなかった。
ただゴミを見るような目つきで俺を見つめている。
ゾッとした。
その視線が怖かった。
ただただ恐ろしかった。
「死ねっ! 死ねよ、クソババァ!」
ゴッ、ゴッ、ゴッ……。
恐怖を打ち消すように、俺は母さんを殴り続けた。
「はぁはぁはぁはぁ……」
もうどれくらい殴り続けただろう。
気がつくと、母さんはソファーでぐったりしていた。
「か、母さん……?」
俺の呼びかけに、母さんはまったく反応を示さなかった。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
俺は家を飛び出した。
殺した、殺した、殺した、殺した!
俺は母さんを殴り殺してしまった!
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