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俺は母子家庭だからといって、貧乏だったわけじゃない。
賃貸だが、人並みのマンションに住んでいた。
食事だって、栄養バランスのいいものをお腹いっぱい食べていた。
それに誕生日には、いつも欲しい物をくれた。
だが、そのプレゼントが曲者だった。
いつもなにかしら仕掛けがあるのだ。
ここで心温まるエピソードをひとつ紹介しよう。
小学校二年の頃、俺は最新のゲームが欲しかった。
誕生日前には、露骨にアピールした。
テレビでCMが流れるたびに、いいなぁ、とか、欲しいなぁ、とか。
これだけ言えば、どんなに鈍感な人間でもピンとくるはずだ。
下準備は完璧だった。
そして迎えた誕生日当日――9月9日。
目覚めると、枕元に大きなプレゼントの箱。
俺は飛び起きた。
急いで包装紙を乱暴に開ける。
この大きさからして、きっと欲しかったゲーム機だ。
だが、破った包装紙の隙間に見えたのは、明らかに別のものだった。
ただの超合金の玩具――その外箱だった。
がっかりした。
あんなに必死にアピールしたのに、母さんには伝わらなかったのだ。
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