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友達や恋人からRINEが来ているが、とても返事をする気分じゃなかった。
ただ画面の時計を見つめる。
23:30……0:00……0:30……1:00……1:30……そして、2:00。
ドッドッドッドッドッド……。
うるさいほど心臓が早鐘を打つ。
一分一秒がこんなにも長く感じるなんて思いもしなかった。
2:01……2:02……2:03
いつもなら眠気で目を開けていられない時刻だ。
なのに少しも眠くない。
ネカフェで数時間眠ったからだろうか。
いや、違う。
この家で眠ることが怖いのだ。
俺は考えた。
もしあの狂った状態の母さんが、俺の寝ている枕元にやってきたら……。
ブルッ!
思わず身震いした。
もしかしたら、そのまま目が覚めないかも。
……ありえる。
あの状態の母さんならやりかねない。
そう考えると、眠ることなんてできない。
部屋の鍵なんて、ただの気休めみたいなものだ。
入ろうと思えば、バールの一本もあればいい。
そんなことを延々と考えていたら、車のエンジン音がした。
「お疲れさまでした、瑛子ママ」
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