第9話 『死ね、クソババァ!』

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「朝ご飯? とっくに食べ終わったわよ?」 「は!? 俺の分はどこだよ!?」 「あるわけないじゃない」 「じゃあ作れよ! 今すぐ!」 「はぁ……だから、どうしてあなたの分を作らなくちゃならないのよ? 母親じゃあるまいし」  母さんはため息を吐いた。  絶対に意思を曲げないと決めたときの母さんの癖が、このため息だ。  つまり、今まで言ったことは全部本気ってこと。  絶句する俺。  母さんは立ち上がる。  そして手に持ったカップを傾けた。  ジョボジョボジョボ……。  ベージュ色のラグに、黒いシミが広がっていく。  何をしてるんだ……。  気が狂ったのか?  唖然とする俺。  ここへきて、母さんは、ようやく俺の顔を見た。 「こんなにマズいコーヒーを飲んだのは生まれて初めてだわ。せっかくの高級な豆が台無しよ。このクソ趣味の悪いカップのせいでね」  そう言うと、カップを床へ叩きつけた。  ガシャン!  大きな音を立てて、カップが砕け散った。  俺が母さんにプレゼントしたカップが……。  まるで昨日の再現だった。
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