第9話 『死ね、クソババァ!』

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 違うのは、割ったのが母さんで、カップの破片を母さんが気にも止めていない点だった。  俺の頭に一瞬で血が上る。 「クソババァ!」  俺は母さんに飛びかかった。  胸ぐらをつかんで、母さんの顔面を殴った。  一発、二発、三発。  口から血を流し、鼻血を出すほど殴っても、母さんは抵抗しなかった。  ただゴミを見るような目つきで俺を見つめている。  ゾッとした。  その視線が怖かった。  ただただ恐ろしかった。 「死ねっ! 死ねよ、クソババァ!」  ゴッ、ゴッ、ゴッ……。  恐怖を打ち消すように、俺は母さんを殴り続けた。 「はぁはぁはぁはぁ……」  もうどれくらい殴り続けただろう。  気がつくと、母さんはソファーでぐったりしていた。 「か、母さん……?」  俺の呼びかけに、母さんはまったく反応を示さなかった。 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」  俺は家を飛び出した。  殺した、殺した、殺した、殺した!  俺は母さんを殴り殺してしまった!
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