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俺だって、最初はムキになって否定していた。
だが、不思議なものだ。
言われ続けるうちに、段々と考えが変わってきたのだ。
――もしかして、こいつの言っている通りなのかも……と。
そして、さらに言われ続けると、俺はこう考えるようになった。
――俺の母親は、体を売ってる汚い女だ。
妙なことに古波藏は、三学期になると、母さんのことを何も言わなくなった。
それどころか、俺に話しかけることすらなくなっていた。
だが、時すでに遅し。
中学に上がる頃になると、俺は母親のことが大嫌いになっていた。
ちなみに、古波蔵だが、こいつは別の中学へ行った。
私立の金持ち中学だそうだ。
公立の中学校へ進んだ俺は、反抗期も重なってか、家庭内で荒れに荒れた。
母親の言うことなんて、絶対に聞かなかった。
「正広、あなた何時だと思ってるの!」
「うるせぇ、ババァ! テメェだって毎日午前様じゃねぇか!」
そんな口論は日常茶飯事だった。
あまりに母さんがうるさいとき、俺は手を上げた。
暴力を振るったのだ。
たった一人の母親に。
俺の体は平均よりかなり大きかった。
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