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「俺、メイド服ってアンケートに書いたんだよなぁ」
「僕は水着って書いたんだ〜」
聞こえなかったことにしたい。
なんかやばい話しか聞こえなかったんだけど。水着?ほぼ全裸じゃん。パンイチでいるようなもんじゃん。なんてものを希望したんだよ。
てかメイド服はかわいい男子ではなく可愛い女子が着るべきだ。
万が一ガタイのいい生徒に当たったらお前どうしてくれんだよ。
そいつ可哀想すぎるだろ。
なんならそれを見る俺たちの気にもなれ。
なんてことは俺の心の中に収めておく事にした
そして競技が始まった。
正直言ってどんなコスプレ、じゃなくて仮装をするのかとドキドキしている。だがどんなものが見せられるのか分からないというのは軽く恐怖である。
「位置について…よーいドン!」
お決まりのセリフと共にピストル音が鳴り響き、走者が走り出す。
数々の障害物を乗り越えていき、
試着室のボックスの中へ次々と入っていった。
周りはみんなどんな衣装で出てくるのかと興奮しているのか無駄に鼻息が荒い。なんならむさ苦しい。
ボックスの中からは"うわぁぁ!"だとか"うそだろー!"だとか"最悪だ…"と言った声がなかなかの距離があると言うのに聞こえてくる。
まぁ、可哀想にと思うだけだが。
「「「きゃー、齋藤く〜ん!」」」
男子からぬ声が周りから聞こえたと同時にボックスから出てきたのは俺の隣のクラスの齋藤というイケメン。爽やかなスポーツ男子である。
あ、ちなみに喋ったことはもちろんないし、面識もない。ただイケメンでよく騒がれているから知っていると言うだけだ。
彼は当たりなのかハズレなのかは分からないが浴衣という格好で出てきた。
水着とかじゃないだけ良いのかもしれないがなんとも走りにくそうな格好だ。走る度に浴衣から覗く足。見える度に騒がれている。
爽やか男子もこればっかりは恥ずかしそうで若干顔が赤かった。
別に走って疲れてるだけかもしれないけどね。
「うわぁ、齋藤くん可哀想…。俺たち出なくてよかった…」
うんうんと璃斗の声に返事をする。
俺達には借り物競争があることは口に出さないでおいた。
心の中では既に5回もその事で溜息をついている。
万が一大変なお題に当たってしまったら困るし。好きな人とか好きな人とか好きな人とかぁぁぁぁぁ!
もし出ちゃったら誰を借りようかな。
大好きな"友達"として誰か連れていくのもありだと思う。
しかしその考えはすぐに俺の脳内の中で取り消された。
だって、俺、璃斗以外にこの学校で友達いないもん。
やめよ。
自分で言っといて悲しくなってきたわ。先輩達も友達?っちゃあ友達なのかもしれないけど、むしろ友達というより仲間って感じだしなー。
俺、恋愛以前に友達作りを頑張らなければ行けないかもしれない…
悶々と色んなことを考えているうちに何組ものレースが終わり、みの先輩とたか先輩が同じ列に並んでスタートラインに立っていた。
ちなみにそれには歓声で気づきましたよ。
このカップル2人で障害物競走。しかもコスプレありとか絶対何かある。
ていうかみの先輩が何かを企んでいそう。
たか先輩には申し訳ないなぁとか思いながら走者が走り出すのを楽しみにしてしまっている俺がいた。
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