そういうのは警察へ

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そういうのは警察へ

 実はたまにそういう依頼もある。アニメでもドラマでも探偵は事件解決する人という構成で描かれている為、実際そういうものを相談する人がいるのだ。そういう時はきちんと法律や探偵業務の説明をし、警察への再度相談や個人経営で事故の検証、鑑定を請け負っている知人を紹介したりする。 「それはもちろん承知してます。概要をお話しますので、第三者として気になる事を教えて欲しいのです。我々は田舎暮らしが長く頭が固いですから、何かおかしい事があっても気づいていないだけかもしれませんので。そういう職業をやっていると、発想は柔軟でいらっしゃるでしょう。佐藤さんもそうでした」 「あの人は特別優秀なのです」  白々しい会話が続いているが、無論そんな事を信じる中嶋ではない。たったそれだけのために県をまたいで来させ、破格の依頼料など支払ったりするものか。しかも依頼内容を話そうとせずとにかく来て欲しいの一点張りだったのだ。目的は確かに今本人が言ったとおり、この村の者ではない外部の人間を招きいれる事だろう。知人などではない、こういう事に呼んでも違和感のない者を。  それが一体何のためなのかはわからないのでこれから探っていかなければいけない。 「では本題です。一体何が起きていて、何を調べればよろしいのでしょうか」 「はい。恥ずかしながらこの家は遺産相続に揉めている時期が長く、親族同士非常に不仲でして。母が死んだら遺産は誰にどのくらいいくのか、という話を母の前でするくらいです。先日親族会議があり大荒れでお開きになったのですが、その日からおかしな事が起きるようになりました」  まるでなんでもない事のように話すので中嶋も軽く話を受け流す。どうせ親族の嫌がらせでも始まったのではないかとは思ったが、一応聞いてみた。 「どのような?」 「えーっとそうですね。まず従兄弟が二人同時に死にまして」 「は?」 「めんどくさいのですっ飛ばすとかれこれ計四人ほど死んでるわけです」 「すっ飛ばさずじっくり話してもらっていいですか」 「あ、やっぱり?」  あっはっは、とまた軽いノリで笑い飛ばす御壬と、完全に引きつった顔で乾いた笑いを漏らす中嶋。帰りたい、心底中嶋はそう思った。
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