岩手県のある寒村にて

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岩手県のある寒村にて

 今から70年ほど前の話。  岩手県のS市の山奥に、猟を生業とする家族がひっそりと住んでいた。  その日は、手足が切れるほどの痛さを手土産に、真っ白でフワフワとした粉雪が降り積もっていた。  その家の家族五人は、平和に、極々平和に囲炉裏を囲んで暮らしていた。  40代の両親に中学生の長女と小学生の次女、それに次女と一つ違いの長男。  3人の姉妹と弟は、仲が良かった。  辛く悲しい事があれば助け合い、喜びは分かち合った。  そう、あの日までは。  
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