私が私を呼んでいる

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※ 生きていれば嫌な事の一つや二つはある。そんな事は分かっている。 だから私は職場の休憩室で一人。胸に溜まった不平不満、怒りと苛立ちをなるべく丸めて凝縮して、短い溜息にして吐き出した。 「大丈夫。感情を制御出来ないのはたかだか数十分。それを過ぎれば落ち着く、落ち着く…」 先日テレビで見た情報を呪文のように呟いたところでしかしそれは、ここ数十時間の他人の挙動に掻き消されていく。灯りがふつりと切れるようにブラックアウトした視界に、安っぽいフィルム上映が始まった。
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