私が私を呼んでいる

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※ 早めに出勤しようとした朝のジャストなタイミングでの人身事故、連絡線もない路線沿線に住んだ自分を呪いながらもどうにか復旧した混み合う電車に体を捩じ込むと、何故かキャリーケースを二つも持つ初老の女性。それ、どうしてもこの時間の電車に乗らないとダメなやつですか? 見た目で判断するしかないのでしますけど、貴女がっつり旅行の帰りですよね? わざとではない他人の肘打ち攻撃。多分わざとの他人の全体重寄り掛かり攻撃、わざとではないけど許せない体臭攻撃。 やっとの思いで到着した職場には昨日のクレーム案件の半端な引き継ぎメモが残されていた。 お客様の怒りの度合いもいまいち分からず、結局解決したのかしてないのかも不明。 しかし次回の来店時の対応は私を指名。そもそも字が汚くて読みづらいと読めないの狭間。控えめに言って、嫌がらせかな? 開店の館内放送と共に財布を携帯している気配のない子供達がやたら入退店を繰り返す様子に引き攣った笑みを浮かべていると、スタッフの一人が「今日は運動会の振替休日らしいですよ」の一言。そっか。お休み嬉しいよね。でも、親御さんを連れてきてくれないかな。知ってる?お金がないと、何も買えないんだよ? ドロワーを閉めたタイミングで鳴ったお腹が昨夜の旦那の一言を連れてくる。「いや、美味しいけどバラ肉じゃなくてロースの方が良かったかな。あとさ、汁物あるとご飯って感じがして良いよね」帰宅してからの限られた時間で買い物、洗濯、調理。確かに完璧とは言えません。でも、まずそれらを当たり前として追加で注文つけられると苛立ちでお腹一杯になるのよこっちは。ご飯って感じがして?貴方が食べているのはご飯じゃなくて何なのかしら? そんなに汁物が飲みたいならお湯でも沸かして飲んで下さい。 何一つ落ち着けられていない事態がカタカタと音を立ててフィルムに載せられていく。
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