おしり

1/1
前へ
/3ページ
次へ

おしり

私のお尻はお世辞にも小さいとは言えない。 運動を全くせず、デスクワークの私は常にスカートや長いトップスでお尻を隠している。 鍛えなければとはおもいつつも、スクワットなんて辛いし、出さなければバレないのだからと後回しになっていた。 キッチンで夜ご飯を作っていると、6年連れ添っている彼が私の後ろに座り込んだ。 「でっかいおしりー。」 「私もそう思っている。」 ふにふにと、私のお尻を揉むのは毎日のことで気にせずに料理を続けた。 「だって、見て。こっからここまでおしりだよ?」 見てと言われても見れるわけがないだろう。と思いながらも、彼の手は私の腰下から、太ももの付け根を示していた。 「まって。そこじゃない。ここ。」 彼の手を自分が思うお尻へと誘導する。 「いや、ちがうでしょ。」 誘導も虚しく、手はまた付け根へと戻った。 いつの間にか自分のお尻など見るわけもなくそんなに垂れていたのかと悲しくなり、料理を中断し洗面所へと向かい、後ろ姿を確認した。 ついてきた彼の目をきっとみて、私の主張は間違ってないことを伝える。 「いや、ここまでだって。」 彼の手はまた付け根をなぞる。 「いや、そこお尻だったら太もももお尻じゃん。」 「どゆこと。」 「そこは太ももだから、そこがお尻なら太もももお尻なわけですよ。」 「そんなん言ったら、足全部お知りじゃん。」 「そうゆうことになりますね。」 「なら、足晒してる女の人はみんなお尻出してるってこと?!」 「ええ。ハーフパンツを履いた男性もお尻を出していますね。」 「なら、お尻触られないように足の上に手を握って固定するキャバ嬢の皆様は無意味だったってことか?!」 「無意味です。あとなんでそんなこと知ってるのかそこが問題です。」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加