1話 seventeen

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「直人、いつからいたの? 見てたんなら手伝ってよね」 「いやぁ、啓介がピンチになったら颯爽と登場するつもりだったけど、出番なかったよね。やっぱつえーな、お前。一対三でも余裕だったじゃん」 「僕が喧嘩好きじゃないの知ってるくせに」  心底嫌そうな顔をして、啓介は自分の鞄を拾いあげ土手を登る。直人は地面に転がる男子高校生を不快そうに眺めてから、啓介の後を追った。 「また(くぬぎ)高校のヤツか。あれ、絶対啓介に惚れてんだろ。構ってほしくて絡んで来るんじゃねーの? 無視しちまえよ。喧嘩が嫌いなら尚更」 「でもほら、僕って負けず嫌いじゃん? 売られちゃったら買わないとね」 「お前もめんどくせぇ性格してんなぁ。だけど、なるべく一人になんなよ、また狙われんぞ。人数増やされたらヤバイだろ」  心配そうな直人を横目で見ながら、啓介がにやりと笑う。 「じゃあ、直人がボディーガードになってくれる? そんで、代わりにあいつらの相手してよ。負けたら承知しないけど」 「なんだよそれ、ひでーなぁ」  直人は声を上げて笑い、「まぁいいけどね」と言って薄茶色の髪をかき上げた。日の光に照らされて、髪色はさらに明るく透き通る。綺麗だな、と見惚れそうになったが、気付かれないうちに目を逸らした。
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