1話 seventeen

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1話 seventeen

 良く晴れた日の午後だった。  梅雨の合間の貴重な日差しは思いのほか強く、少し動いただけでじっとり汗が滲む。  もうすぐ夏が来る。  そんな予感を抱かせる爽やかな青空に、およそ不釣り合いな鮮血が散った。 「ホントもー、しつこいな。そんなんだからモテないんだよ? てゆーか、河川敷で喧嘩とか、ダサすぎて超嫌なんだけど」  肩で息をする男子高校生と対峙しながら、色白の少年が呆れ顔で罵る。  少年と言っても制服姿で、彼もまた高校生のようだった。肘が隠れるくらいの位置で緩く腕まくりされたワイシャツは、返り血と土埃で赤黒く汚れている。眉間に皺を寄せていても、端正な顔立ちということは一目でわかった。  既に少年に打ち負かされ、仰向けの状態で倒れている仲間をチラリと見た男子生徒は、悔しそうに唇を噛んで一歩踏み込む。 「調子乗んなよ、梅田ァ!」  大振りに繰り出された右の拳を避けながら、少年は相手の顎を突き上げるように殴りつけた。骨と骨がぶつかる鈍い音が高架下に響く。綺麗に打ち抜かれ、声も出せずに男子生徒は膝から崩れ落ち、前のめりに倒れた。    足元で呻く学生たちを見下ろした少年は、拳をさすりながら億劫そうに息を吐く。 「啓介、おつかれー」 聞きなれた声に急に背後から呼びかけられ、啓介と呼ばれた少年は顔をしかめながら振り返った。
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