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おとしどころ
朝、目が覚めると街が一変していた。
空をトカゲが飛び、カタツムリの行列が地べたを走っている。
「なんだここは。夢でも見ているのか」
俺はそう思って、もう一度深く眠る事にした。
目が覚めるといつもと変わらない街がそこにはあった。
どうやら先ほどの出来事は夢だったらしい。俺は服を着替えて会社へと出かけた。
会社へと出かける途中。どうにも奇妙な感覚に囚われた。何かがおかしいのである。
何がおかしいのかまでは判らなかったが、なんとも言えぬ奇妙な感覚が支配する。
しかし、差し迫った問題もない。俺は会社に行き仕事をした。
奇妙な感覚は仕事の間もずっと続いていた。こうなってくると、凄く気になる。
気にはなるものの、原因は判らない。仕事を終え家に帰る。
「今日はあまり深く眠れそうにないな」
うとうとしているうちに睡魔がやってきた。眠りの中に落ちていく──。
朝になっていた。違和感はあるものの昨日と変わりのない一日だった。
だが、今日も奇妙な違和感だけは晴れる事はないのだ。なんとも言えない違和感がまとわりつく。
仕事をし、家に帰ろうという時になり、とうとう俺は耐えられなくなった俺は帰り道に医者に寄る事にした。
「どうしたのですか」
「朝目覚めると何処か違和感のようなものがあるのです」
「ふむ。それは大変でしょう。今晩はぐっすり寝た方が良いかも知れませんな」
「でも深く眠ってしまうともっと大変な事が起こるかも知れません」
「疲れているせいですよ。まずは一晩ぐっすり眠ってみるべきでしょう」
俺は医者から睡眠薬を処方された。確かに疲れているのかも知れない。
「よし寝よう」
家に帰りシャワーを浴びて床についた。薬を飲む。昨日よりも強い睡魔がやってくる。
「本当にこれで良かったのだろうか。違和感くらい良くある話じゃないか」
そう思ったが既に手遅れ。俺は深い深い眠りへと落ちて行く──。
深い眠りから覚めると、その世界は今までに見たことがないほど不思議な世界だった。
「駄目だ。また寝よう」
目が覚めると、さらに不思議な世界。有り得ない事が次々と起こる。
「もう一度寝よう」
だが、睡魔はやってくる事がなかった。寝過ぎたらしい。
「困ったな。どんどん酷くなっていく。こんな事になるなら違和感くらいで我慢すれば良かった」
俺は服を着替え、会社に行く準備をする。取りあえず、今日はこの世界でやっていくしかないのだ。
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