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一 再会
月子が聖子と再会したのは、六月の半ばだった。
梅雨入りのニュースが流れたばかりで、その日も朝から午後三時を回るまで、しとしとと小雨がしつこく降っていた。
電車の待ち時間をつぶそうと、喫茶店の茶色いドアを押した。
喫茶店に入るなり、カウンターにいたエプロン姿のウェイトレスが「いらっしゃいませ」と朗らかに声をあげた。
月子が窓際の席にすわると、メニューと水が運ばれてきた。
「キリマンジャロ」
不愛想に月子は注文した。ウェイトレスがカウンターへもどるのと、少し離れたテーブルから
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