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(いけない! 廃工場といっても、わたしは不法侵入だわ。早くここを出なければ!)
顔を上げ、そのまま自分が侵入してきた窓枠へと突進した。しかし、その窓枠がぐにゃりとゆがむ。足もとが激しく振動した。
そのとき、唐突にくわしく思い出した。あのおまじないについて。
満月の夜、廃工場から小ビンを取って来て、幸せのお守りになるよう願いをこめること。
そのとき、ビンを独り占めしたり、壊してはいけない。
月子はビンを壊した。独り占めしようともした。
しかも、いまは満月の夜ではない。
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