またいつの日か

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またいつの日か

 ボクはカニを捕まえて遠くに離してあげた。 「ハァ、ハァ、恐かった〜」 「カニ、恐いんだね」 「ワタシたちにとっては腕を切られちゃったりする事もあるからから恐いわよ」  人間にとっては小さいカニでもマルスリーヌみたいな小人にはボクらでいうワニみたいなものなのかと思って、 「笑っててゴメンねマルスリーヌ」 「助けてくれたじゃない、さぁ次よっ」 「うん!」  怒られると思ったボクにマルスリーヌはやさしかった。 「ねぇねぇ、次は砂のお城を作りましょう」 「うん、わかった」  ボクは最初、水を含んだ砂で山を作った。そしたら小人のマルスリーヌが山の中を掘って反対までつなげて、 「やったわトンネルの完成。スイヘイ君は何してるの?」 「お城だから、周りにも塔を建てようと思って」 「よ〜し、じゃあワタシはえ〜っと······あった」  木の枝を拾って山にお城っぽい模様を描いていく、さらに塔にも。  そうやっていつの間にか時間がたって、 「「できたーっ!」」  周りに4つの塔、そして真ん中には大きな砂のお城。  一段目がトンネル、二段目はマルスリーヌが立てるほどのベランダ、三段目はお城の一番高いところに貝をのせて、 「このお城の名前なにがいいかな?」 「う〜ん······決めたっ、このお城の名前は、シェル城いえシェル·キャッスル。そしてワタシはそこのお姫様マルスリーヌ、フフッ」  マルスリーヌはすごく嬉しそうでボクも嬉しい。 「じゃあボクはなんなの?」 「そうね〜······お城を護る巨神はどお?」  お城を護る巨神、なんだか強そうで剣は無いけど持ったようなポーズとってみたり、槍を投げるようなポーズをしたりしても、  パチパチパチッ、 「スイヘイ君、カッコイイわ!」  マルスリーヌはボクをホメてくれるんだ。そんな楽しんでいるとき、時間がたって波がお城の方までやってきた。 「キャッ、お城がっ」  ボクは不思議に身体が勝手に動いて、  ザブーンッ、 「スププププッ、姫ご無事ですか、なんて」  身体を横にしてお城を波から護った、口に波がはいってしょっぱい。 「さすが、我が城の巨神様ね」 「へへっ」  ボクは初めての巨神としての役目をはたしたんだ。  このあとけっきょくお城は崩れちゃったけど、このほかにもたくさん遊んだ。するといつのまにかオレンジ色の空になってきて、 「次はなにするスイヘイ君」 「う〜ん、あれ? もう暗くなってきた」 「あ、ホントッ」 「······もう、帰らなくちゃ」  ボクは下をむいた、だってマルスリーヌと離れるのはさびしいから。 「そっか、そうね。でも今日はとっても楽しかったわ」 「マルスリーヌ」 「だって、漂流したお姫様を助けてくれたのは、巨神君だったんだもん」 「うん、でも」  マルスリーヌはボクの両手の人差し指を握って、 「そんな寂しい顔しないで、これで最後じゃないんだから」  そのとき海からマルスリーヌの乗ってた潜水艦と似てるやつが3つやって来て蓋が開いた。 「マルスリーヌ、まったく」 「おじいちゃん!」 「パパはカンカンだぞ」 「テヘッ、ごめんなさい。運転してみたかったの」 「やれやれ、君は······」  名前をいうと小人のおじいちゃんは、ありがとうって優しい顔で言ってくれた。 「しかしスイヘイ君も、もう帰ったほうがいいんじゃないかな?」 「あ、うん」  すると今度は、 「「彗平すいへい〜!」」 「お父さんっ、お母さんっ!」 「彗平、もう〜、心配かけて」 「やっぱりここにいたか」 「ごめんなさい」  安心したお父さんお母さんがすぐ下を見ると驚いたんだ。 「ち、小さい、人?」 「う、うそ」 「これはこれは人間の、スイヘイ君のお父さんお母さん、うちのマルスリーヌがお世話になりました」 「あ、いえ」  お父さんはなんか驚きっぱなしな気がした。 「それでいて何ですが、我々の事は他の方には内緒にしていただけないでしょうか」  小人がいると分かれば他の人が探して捕まえたり、悪いことをするって小人のおじいちゃんは言ってた。でもお父さんとお母さんはすぐ返事したからもう大丈夫。  それで、 「マルスリーヌ」 「スイヘイ君」  ボクはしゃがんでマルスリーヌを見つめた。 「やっぱり、さびしいよ、せっかく友だちになったのに、いっぱい遊んだのに」  ボクはどんどん悲しくなってきたけど、 「さっきも言ったでしょ、ワタシたちはこれで最後じゃないって」 「でも」 「あなたは、このマルスリーヌ姫を護る巨神でしょ、だったらメソメソしないで」 「うん······ボクメソメソ、しない」 「うん、よし、じゃあ」  チュッ、  マルスリーヌがボクのほっぺたに唇を付けた。お父さんお母さんはなんでか恥ずかしがってた気がする。 「なに? これ」 「マルスリーヌ姫からのプレゼント。これをずっと覚えておくとね、素敵な大人になれるのよ」 「そうなんだ、やった、ボクずっと覚えとく」  嬉しくてお返しに、右手の人差し指と中指を重ねて、マルスリーヌの小さいほっぺにやさしく触れる。 「スイヘイ君、これは」 「こうするとさっきマルスリーヌがしてくれたみたいだから」 「フフッ、ありがとうスイヘイ君······じゃあ」 「うん、さようならマルスリーヌ······」  他の小人も自分の潜水艦に乗っていく。そして、 「じゃあねー、スイヘイ君」 「マルスリーヌー、バイバーイッ」 「必ずまた会いましょーっ!」 「うーんっ、ぜったいだよーっ!」  最後にボクたちは手を振って小人たちはオレンジ色の海の中へと沈んでいった。  マルスリーヌと別れて悲しかったけどボクは泣かない、だってボクはお姫様を護る巨神だもん。  また、ぜったいに会おうね、マルスリーヌ――。
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