流れついたオモチャ?

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流れついたオモチャ?

 ボクは海にきていた。  お父さんとお母さんは働いていて、だからいつもボクは1人で遊びにきてる。  たくさんの人は苦手だから人気のない浜辺は楽しい、そこで砂を掘ったり泳いだりしていたんだけど。ボクが海から上がったとき浜辺で潜水艦みたいなオモチャが横たわっているのをを見つけたんだ。 「うわぁぁやったーっ、カッコイイ」  すごくホンモノみたいでいじっていたら、パカッと潜水艦のてっぺんが開いて、 「ふぅ〜、死ぬかとおもった」 「えっ、ひと?」  ちっちゃい女の子と目が合うとプルプルプルッと首を左右に振って水を飛ばしてきた。 「うわっ、なんだよ〜」 「キミッ、巨人?」 「巨人じゃないよ、きみがちっちゃいんだよ」  それは赤いリボンを付けたちっちゃな小人の女の子だった。 「ワタシはマルスリーヌ」 「ボクは彗平(すいへい)」 「スイヘイ君か〜、ワタシ初めて地上にでたから最高!」 「初めて?」  マルスリーヌが喜んでいるけど、ボクだって小人に会ったのは初めて、ぼくの手ぐらいの大きさでなんだかカワイイ。そう思ってたら女の子は後ろを振り返って、 「すっごーい、大きな海〜!」 「いつもきてるけど、ボクもそう思う」  このとき一緒に眺めた。どこまでも青い海は一人ぼっちのボクを励ましてくれる。 「ねぇねぇマルスリーヌ、どうしてここにきたの?」 「アハハッ〜······実はね、あの潜水艦を運転したら操作が分からなくなって」 「ええー、あれホンモノなんだっ、スゲーッ!」  もちろんよとマルスリーヌは楽しそうに言うけど、操作の仕方を知らなかったって。 「パパのやり方を見てたんだけど途中でわからなくなって、適当におしたら流されちゃったの」 「あぶなかったね」 「うん、よくパパやママに『あなたは危ない子ね』って言われてた」  言われてたのに乗るなんて無茶好きなのかなって思った。 「ねえ、スイヘイ君はここで何してたの?」 「ボクは······」  泳いだり、波を受けたりしていたと伝えたら、 「大人の人無しで泳ぐのは危ないわ」  そんなこと言われても帰っても誰もいないし、暑いなか家で1人でいるのも嫌だとボクはいった。 「······そっか、スイヘイ君も大変ね」 「しょうがないよ、お父さんもお母さんも一生懸命働いてるんだから」  しんみりとしていたら突然マルスリーヌが、 「えらい、えらいわっ!」 「わっ、びっくりしたなもー、おどかさないでよ〜」 「じゃあ、ワタシと一緒に遊びましょ」 「やったー、遊ぼう!」  正直ボク1人で遊ぶのに飽きていたからマルスリーヌがそう言ってくれて嬉しかった。 「さぁ、まずは競争よ」 「え、マルスリーヌちっちゃいからボクが勝っちゃうよ?」 「む〜、そんなのやってみないと分からないわよ」  学校の体育の授業だと50メートル走したことあるけどそれの半分くらいの距離だけどと思った。 「いくわよ、よーい」 「ボクが勝つと思うけどな〜」 「ドンッ! あっ、あそこに大きなカニ」 「えっ? 大きなカニ?」 「よーし今のうちよ〜」  ずるいと言っているうちにマルスリーヌはゴール半分まで行ってたんだけど、 「ハァ、ハァ、ワタシの勝ちよ······キャッ」  バフッ、うつ伏せに転んだ。 「ゴールっと、ねっ、ボクが勝ったでしょ」  顔を上げたマルスリーヌが顔の砂をプルプルッと首を振って落としたら、 「そんな〜、やったと思ったのに〜」 「ズルしようとするから〜」 「じゃあ次よ」  そのとき後ろに赤い生き物が。 「キャーッ、助けてスイヘイ君!」  今度はホンモノのカニ、と言ってもマルスリーヌよりちょっと小さいけど。 「あ、カニだ」  カニはマルスリーヌを追いかけて行く。 「キャーはやくー」  カサカサカサッ、横に走ってカニとマルスリーヌが逃げてるのを見て、 「アハハハハッ、おもしろ〜い」 「笑ってないで助けてよ〜」
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