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変わりたい、別の物になりたいとは思っていた。
現に今、自分の姿形が変わってしまってからというもの、ほんの少しだけ戻りたいと思うのだ。
たまに戻れるには戻れるのだけれど。
いやしかし、まさか自分がこんな事になるとは思わなかった。
変身って言ったほうが良いのだろうか。
転生ではない。異世界では無いのだから。ラノベのよみすぎか。
私は人間だったのだ。極稀に人間に戻れるが。
何故こうなったのか、人間だった私は仕事帰りに信号待ちをしていた。
足元に目をやると、そこには小さなおじさんがいた。
小さなおじさんはメイド服を着ていた。
私は訳が分からず、その場から動けずににいた。
そこの君、想像して欲しい、メイド服を着た小さなおじさんが目の前にいたら、君ならどうする。
どうにもできないだろう。
小さなおじさんは私に向けて手でハートをつくってきた。
怖気がした。
そして急に目眩がしたのだ。
私はその場に倒れた。
目を覚ました私は、身体中に異様な違和感をかんじた。
何もかもが違う。感覚、際立って聴覚嗅覚が異常に敏感になっている。
身体に関しては説明が難しい。全て違うと言って良い。現に全て違う。
よろよろと私は立ち上がろうとした。
立ち上がろうとしたのだけど、手に力を込め、足に力込めると自然とよつん這いの姿勢になるのだ。
しかも膝ではなく足がしっかりと地面に着く。
視力の落ちた目に自分の手が映った。
けむくじゃらだった。
私はこんなに毛深くないはずだ。
兎にも角にもまずは歩いてみた。
見事四足歩行ができる、おかしいにも程がある。
道行く人が私を見て可愛い等と言っている。
こんなおじさん捕まえて可愛い等あるものかと思ったものだ。
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